その婚姻届、大丈夫?婚姻届が受理されないよくあるミスを解説

その婚姻届、大丈夫?婚姻届が受理されないよくあるミスを解説

婚姻届の記入でよくあるミスと正しい書き方をご紹介します。確認すべき項目のリストも参考にしながら、婚姻届を隅々までチェックしてくださいね。

目次

  1. 婚姻届提出の基本
  2. 婚姻届が受理されないケースは何が原因?
  3. 受理されないケース1:氏名や住所など項目の書き間違い
  4. 受理されないケース2:提出書類や記入方法の不備
  5. 受理されないケース3:記入漏れ
  6. 間違えても焦らない!婚姻届を訂正する方法
  7. 婚姻届を提出する前にもう一度確認
  8. この記事のまとめ

きちんと書いたつもりの婚姻届、実は受理されないケースもあることをご存じですか?婚姻届にはルールがあるため、正しいと思っていたところが間違っていた!ということがよくあります。

そこで今回は、婚姻届をスムーズに提出したい新郎新婦様のために、婚姻届が不受理になる原因となる、よくあるミスを徹底解説します。間違えた場合の正しい訂正方法もご紹介しますので、今まさに記入途中の新郎新婦もぜひ参考にしてくださいね。

婚姻届の印鑑廃止について
2021年9月以降、法改正によって訂正印や捨印を含む婚姻届のすべての印鑑は不要となりました。この記事の印鑑に関する部分には、2021年10月現在の最新の内容を追記しています。

婚姻届の印鑑廃止について詳しく知りたい方は、婚姻届に印鑑は不要!2021年のハンコ廃止の法改正の影響とは?をご覧ください。法改正の概要や今後の印鑑のルールについて役所担当者に行ったインタビュー内容を交えて解説しています。

婚姻届提出の基本

婚姻届は日本全国どこの役所でも提出可能です。今住んでいる地域はもちろん、旅行先や思い出の場所など、どこでも提出できます。ただし、本籍地以外の役所に提出する場合は戸籍謄本が必要になりますので注意しましょう。詳しくは婚姻届の提出に戸籍謄本は必要?不要?入手方法と必要書類、戸籍抄本との違いを解説もご覧ください。

提出するタイミングは24時間365日いつでもOK(一部を除く)。役所が閉まっている土日や夜間は、時間外窓口を利用します。役所の閉所時に提出する予定の方は、窓口の場所をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

婚姻届が受理されないケースは何が原因?

婚姻届はしっかり書いたつもりでも、いざ提出にいくと受理されなかったり訂正を求められることがあります。では、原因は一体どんなことなのでしょう?よくあるミスは次のとおりです。

  1. 項目の書き間違い
  2. 提出書類の不備(添付漏れなど)
  3. 記入漏れ

どれも簡単なことのように見えますが、細かいルールがある婚姻届においてはとても重要なポイントです。

「なんだか大変そうだな・・・」と思うかもしれませんが、大丈夫!ここからは具体的な失敗例と、正しい書き方や手順をご紹介するので、ご自身の婚姻届と照らし合わせてみてください。

受理されないケース1:氏名や住所など項目の書き間違い

氏名や住所は普段から書き慣れているがゆえに、婚姻届では間違いが起こりやすい箇所です。住所ひとつとっても書き方の決まりがあるため、よく確認する必要があります。では、失敗を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか?例を見ながら慎重に進めていきましょう。

戸籍謄本と名前の漢字が違った

【体験談】これまで自分の名字の漢字は「吉川」だと思って書いていましたが、実は違うと父親が言い出したので、戸籍謄本を確認したら「𠮷川」でした。

例のように、氏名の漢字が思っていたものと違ったというケースはよくあるようです。「自分は大丈夫」と思っている方も、今いちど戸籍謄本を確認し、記載されている通りの漢字を正確に記入しましょう

世帯主を間違えた

【体験談】当時一人暮らしをしており、何も手続きをした覚えもなかったので、世帯主は父親だと思って父の名前を記入してしまいました。

一般的なイメージで、世帯主=父親と思っていらっしゃる方も多いでしょう。実家暮らしの場合はその通り父親が世帯主であることが大半ですが、一人暮らしの方の場合、世帯主は「本人」になります。普段あまり気にすることがないことなので、注意しましょう。

名字を新姓で書いてしまった

【体験談】いよいよ彼と家族になるんだという思いに気を取られて、自分の名前を彼と同じ名字で書いてしまい、訂正する必要がありました。

同棲を始めていたり、プロポーズから長い時間が経っていたりするカップルは、既に結婚しているような気持ちになってしまい、婚姻届に新姓を書いてしまうというミスをしがちです。しかし婚姻届を書く段階ではまだ正式に婚姻が認められていない状態なので、必ず旧姓を書きましょう。「届出人」に氏名を書く際も同様ですので、注意してください。

本籍地や筆頭者を間違えた

【体験談】京都生まれ京都育ちなので、住民票通りの住所を書いて提出したら、「本籍が違います」と言われました。私の本籍が奈良県だとは知らず、戸籍謄本をちゃんと確認すべきだったと反省しています。

生まれてから一度も引っ越しをしたことがない場合などは、現住所を本籍地として捉えてしまうこともよくあります。本籍について曖昧な方は、必ず戸籍謄本を確認してから記入するようにしましょう。また、本籍や新本籍の住所についてはフォーマットの通り「〇番地」や「〇」までの記入で構いません。

「筆頭者の氏名」欄には、戸籍の初めに記載されている人の名前を書きます。筆頭者=世帯主とは限りませんので注意しましょう。

両親の欄を空欄にした

【体験談】私の両親は離婚しており、父親にはそれ以降会わず母親と二人で暮らしてきました。婚姻届の父母の欄は母親だけを記入して提出すると、父の欄も書くようにと言われました。

例のように、ご両親が離婚されている場合は「片方を空欄にしていいのかな」と思いがちです。しかし婚姻届においては、どちらかでも空欄で提出すると受理されません。これは離婚だけでなく死別においても共通のルールです。

必ず父と母、両方の欄が記入されている状態で提出しましょう。もし離婚後に父母どちらかの名字が変わっている場合は、現在の名字で記入します。

証人の署名を未成年のきょうだいにお願いした

【体験談】私は母と高校生の妹と3人暮らしで、3人姉妹かと言われるほど仲良しです。婚姻届の証人は母と妹に署名してもらったところ、妹さんではダメですと返却されました。

仲の良いきょうだいがいる場合、大切な婚姻の証人をお願いしたい気持ちはよくわかります。しかし、婚姻届には「証人は成人でなければいけない」という原則があります。言い換えると、成人してさえいれば証人はどなたでも構いません。もし身内にお願いするのが難しい場合は、信頼できる上司や友人でもよいでしょう。

「氏名の漢字や本籍を間違えるなんて・・・」と思うかもしれませんが、なかなかちゃんと調べる機会がないだけに、意外と間違えやすいようです。以下のチェックリストでもう一度ポイントをおさらいしましょう!

この他にも婚姻届には書き方の決まりが色々あるので、詳しく知りたい方は別記事の「【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説」をご覧ください。

受理されないケース2:提出書類や記入方法の不備

婚姻届は書面の内容を気にされる方が多いのですが、実はそれ以外のところでミスが発生していることも多いのです。提出に必要な添付書類の確認、次に婚姻届自体のフォーマットも確認をしておきましょう。

戸籍謄本の添付忘れ

【体験談】婚姻届は完璧に書いて都内の区役所に届出たのに、提出書類が足りないと言われました。二人とも東京在住ですが私の本籍が静岡だったので、戸籍謄本が必要だったようです。

戸籍謄本は婚姻届を提出する人全てに必要な書類ではないため、うっかり忘れてしまう人も多いです。婚姻届の提出において戸籍謄本が必要なのは「新郎新婦の本籍地」と「婚姻届の提出先」が異なる場合です。次に例をまとめましたので、ご自身の場合はどれに当てはまるか考えてみてください。

  • 二人とも本籍地が「港区」で「港区」の役所に提出=戸籍謄本不要
  • 新郎の本籍地が「港区」、新婦の本籍地が「世田谷区」で「港区」の役所に提出=新婦の戸籍謄本が必要
  • 新郎の本籍地が「港区」、新婦の本籍地「世田谷区」で「渋谷区」の役所に提出=新郎新婦ともに戸籍謄本が必要
戸籍謄本の交付日にも注意

自治体にもよりますが、戸籍謄本は3カ月以内に発行されたものなら問題ないでしょう。また、戸籍謄本の発行には3日~10日程度かかることもお忘れなく。特に郵送で戸籍謄本の申請をする場合には、余裕を持って準備してください。

婚姻届をA3以外のサイズで印刷した

【体験談】可愛いデザインの婚姻届をネットで見つけたので、ダウンロードしました。自宅のプリンターがA4サイズまでしか印刷できなかったのでそのままA4で提出したら再提出になりました。

近年はご当地デザインやキャラクターなどのオリジナル婚姻届も多く、フォーマットを自宅で印刷して利用する人も多くなっています。ここで注意したいのが用紙のサイズ。婚姻届はいかなるデザインであってもA3サイズが規定とされており、それ以外のサイズは受理されないので注意してください。

自宅のプリンターで印刷する場合は、A3サイズに対応しているか確認しておきましょう。ご自宅での印刷が難しい場合は、コンビニのマルチコピー機を利用すると良いでしょう。

婚姻届の記入欄をパソコンで入力した

【体験談】私は字があまり綺麗ではないので、ダウンロードした婚姻届のPDFデータにパソコンで項目を記入しました。見た目も良く満足して提出しに行ったら、受理されませんでした。

履歴書や職務経歴書など、パソコン入力が主流の書類も増えてきましたが、婚姻届に関してはパソコン入力をしてしまうと受理されません。「デザイン婚姻届のPDFデータをパソコンでダウンロードしたついでに・・・」とは行きません。記入欄は必ず直筆で行うよう注意しましょう。

「字に自信がない…」という方は、まず鉛筆でうっすらと下書きをしてから本番の記入に臨むと、見栄えよく仕上がりますよ。

筆記具のポイント
  • 婚姻届は黒か青インクのボールペンまたは万年筆で記入
  • 消せるタイプのボールペンはNG

婚姻届の内容は完璧でも、サイズが違うとイチから書き直しなので必ず注意したいところですね。また、戸籍謄本は提出に必要がなくても、記載事項の確認に役立つので、取りよせてみると良いでしょう。

受理されないケース3:記入漏れ

婚姻届には氏名や住所など、記入が必要な項目がたくさん。その中で見逃されがちなのが、全部で5つある「チェックボックス」。窓口で提出できればその場で記入を求められることもありますが、休日や時間外に提出した場合は、わざわざチェック一つのために出向くのは面倒ですよね。そうならないためにも、婚姻届は隅々までよく確認しましょう。

婚姻後の夫婦の氏のチェックを忘れた

【体験談】完璧に婚姻届を書いたつもりで持って行ったら、「ここにチェックがありません」と指摘されました。新本籍の左に小さくチェックボックスがあったとは・・・。

新本籍の記入欄の横には次の図のように「婚姻後の夫婦の氏」という小さなチェックボックスがあります。

現在の日本の法律では夫婦別姓は認められていないので、必ずどちらかにチェックしましょう。本籍を記入すると、ついチェックを忘れてそのまま進めてしまいがちな箇所なので注意してください。

婚姻届で記入が必要な5つのチェックボックスは次の通り。お互いがそれぞれの記入内容を確認し合うとより安心できますね。

間違えても焦らない!婚姻届を訂正する方法

婚姻届はしっかり確認しながら書いたと思っていても、間違えるときがあるものです。記入の途中で「間違えた!」となると、すぐ新しい用紙に取り掛かろうとする方もいますが、焦らなくても大丈夫!婚姻届には正しい訂正方法があり、きちんと訂正されていれば不受理を避けられるのです。

それではここからは、婚姻届の正しい訂正方法や、便利な捨印について解説します。

婚姻届の訂正は二重線で

まず、間違えた箇所に二重線を引きます。次に、欄内の余白に正しい情報を書きます。それから、欄外の「本届書中◯字訂正◯字加入◯字削除」という欄に訂正した箇所の数を記入して、捨印欄に届出人の印鑑を押しましょう。修正液や修正テープを使用しての訂正は不受理の対象となりますので注意が必要です。

2021年9月以降、捨印や訂正印を含め、婚姻届のすべての押印は不要となりました。(2021年10月追記)

捨印を押しておくと安心

捨印とは、誤りが見つかった際に訂正印として利用してもらうものです。つまり、婚姻届の提出後にミスが見つかった場合でも、役所側が2人の代わりに訂正してくれるのです。そのため、自分では間違いがないと思っていても捨印を押しておくとより安心できるでしょう。

捨印を押す場所は、記入枠外に専用欄が設けられていることが多いです。捨印欄がない場合は、記入枠外の左側中央に印鑑を2人分並べて押しておきましょう。「捨印」と書き添えておくと、よりわかりやすくなります。

ここがポイント!

2021年9月から、婚姻届の印鑑の押印が任意となり、届出人や証人の印鑑がなくても受理されます。原則として捨印も不要ですが、捨印がない場合は届出人や証人など記入者自身の自筆による訂正が必要です。もし不安な場合は捨印を押しておくと安心です。

婚姻届の訂正の方法について更に知りたい方は、別記事の「落ち着いて!婚姻届を訂正する方法と印鑑についてわかりやすく解説」をご覧ください。

婚姻届を提出する前にもう一度確認

ここまでお疲れさまでした!婚姻届の記入は全て終わりましたか?今回ご紹介した内容に加えて、次のようなこともザッと確認しておくといいでしょう。

  • 届出日には書いた当日の日付でなく、提出する日付を書いたか
  • 「長殿」には婚姻届を提出する市または区の名前を書いたか
  • 証人が両親の場合、どちらかの名字が省略されていないか

書いた直後は達成感と満足感でつい見落としが発生しがちなので、できれば一晩置いて、頭がクリアになった状態で見返すことをおすすめします。

この記事のまとめ

今回は「婚姻届が受理されないケース」をテーマに、よくあるミスの事例と、正しい記入方法をご紹介しました。次の通り、もう一度ポイントをおさらいしましょう。

記事のまとめ
  • よくあるミスは「用紙や添付書類の不備」「項目の書き間違い」「チェックボックスの記入漏れ」
  • 住民票や戸籍謄本を確認しながら書き進めていくことが大切
  • 万が一間違えても正しく訂正すれば大丈夫
  • 念のために捨印は押しておくこと

婚姻届の提出は2人が公的に夫婦として認められるための大切な第一歩です。提出日に間違いなく受理してもらうには、ひとつひとつ確認しながら慎重に進めていくことが肝要となります。

婚姻届をスムーズに提出できるよう、ぜひ今回挙げたミスの事例や正しい記入法などを参考にして、2人でしっかりと準備を進めてくださいね。

この記事を書いた人
大森 夕貴
某企業の人事部、採用担当として年間約100人を面接。新入社員研修・教育にも携わる。その後秘書室に異動となり社長秘書を務める。同時期に秘書検定を受験し、一般常識やマナー・接遇についての体系的な知識を取得。現在は夫と娘の3人暮らし。新郎新婦の皆さまのために、わかりやすくお役に立つ記事を書いて参ります!
保有資格:秘書検定準1級、TOEIC850点