落ち着いて!婚姻届を訂正する方法と印鑑について分かりやすく解説

落ち着いて!婚姻届を訂正する方法と印鑑について分かりやすく解説

婚姻届を書き間違えてしまった場合の訂正方法や注意点を解説します。2021年9月以降は訂正印や捨印も不要となっていますので最新のルールもチェックしましょう。ハンコ廃止後の影響について役所の担当者にインタビューした内容も必見です。

目次

  1. 婚姻届を訂正する方法
  2. 婚姻届で書き間違いやミスが多いポイント
  3. 婚姻届の印鑑でミスしやすいポイント
  4. 書き損じに備えてやっておくべき対策は?
  5. 婚姻届が受理されないと何が起こる?
  6. 「1分で振り返る」この記事のまとめ

ふだん見慣れない言葉がならぶ婚姻届。どんなに気を付けていても、うっかり書き間違ってしまうこともありますよね。「書き間違えた!」「しかも書き直すための予備の用紙がない!」という新婦さん新郎さんのお声をよく耳にします。しかし、正しい訂正方法を知っていれば、決して慌てる必要はありません。

この記事では、婚姻届で記入ミスをしてしまった場合の訂正方法をわかりやすく解説します。基本的な訂正手順に加え、書き間違いが起こりやすいポイントや、ミスを未然にふせぐための対策まで詳しく解説します。

間違いに気づいても慌てなくて良いように、しっかりチェックしておきましょう。

この記事のポイント!
  • 婚姻届の正しい訂正方法を知る
  • 2021年9月以降は訂正印や捨印も不要
  • 書き間違えやすいポイントを理解
婚姻届の印鑑廃止について
2021年9月以降、訂正印や捨印を含む婚姻届のすべての印鑑は不要となりました。この記事の印鑑に関する部分には、2021年10月現在の最新の内容を追記しています。

婚姻届の印鑑廃止について詳しく知りたい方は、婚姻届に印鑑は不要!2021年のハンコ廃止の法改正の影響とは?をご覧ください。法改正の概要や今後の印鑑のルールについて役所担当者に行ったインタビュー内容をわかりやすく解説しています。

では、早速婚姻届の訂正方法を見ていきましょう。

婚姻届を訂正する方法

婚姻届で記入ミスをしてしまったとしても慌てる必要はありません。これから説明する3つのステップで対応すれば、間違えたところを適切に訂正することができます。具体的にどのような方法なのかチェックしておきましょう。

訂正するための3ステップ

住所の訂正例
引越直後は住所を間違えやすい

婚姻届の訂正方法はとても簡単です。次の3ステップを覚えておきましょう。

訂正の手順は3つだけ!
  1. ミスした箇所に二重線をひく
  2. 余白に正しい内容を書く
  3. 捨印欄に押印する(2021年9月以降は不要)

「1.二重線」と「2.正しい内容を書く」という方法は馴染みがある方も多いはず。ポイントは「3.捨印を押印する」です。一般に書類の書き損じを訂正する場合は、二重線の近くに訂正印を押印する習慣がありますが、婚姻届の場合は特定の箇所を除いて訂正印は不要です。

2021年9月以降、婚姻届のすべての押印は不要となりました。書き損じを訂正する場合は二重線を引き、余白に正しい内容を記入するだけでOKです。(2021年10月追記)

なお、間違えた箇所を修正液・テープを使って書き直す行為はNGです。上記のように二重線を引き、近くの余白に正しく書き直すようにしてください。

2021年9月以降は訂正印も要らないの?

従来の訂正印の例(新本籍)
従来のルール
訂正は二重線して書き直し、捨印を押印(新しい本籍と届出人の2つの欄は二重線の上に訂正印)

2021年9月から婚姻届のすべての印鑑は不要(任意)となりましたが、以前は書き間違え箇所に押印していた「訂正印」はどのようになるのでしょうか。婚姻届の訂正方法や、訂正印の必要性について東京都世田谷区役所と大阪市中央区役所の担当者にインタビュー調査しました。

ちなみに、2021年8月以前の従来の訂正方法は以下の3ステップです。

  1. 書き損じ箇所に二重線を引く
  2. 余白に正しい内容を書く
  3. 捨印欄に押印をする(新本籍と署名欄のみ、二重線の上から訂正印の押印が必須)

この訂正のルールは今後どうなるのか役所担当者に聞いてみました。

基本は押印不要!押印しておくと安心
婚姻届の基本的な訂正方法は「①二重線を引く②余白に正しい内容を書く」の2点が守られていれば問題ありません。しかし、提出によって新たに作られるもの(新戸籍や氏の選択)は、意志表示をハッキリさせる必要があるため、訂正印をお願いする可能性があります。(世田谷区役所戸籍担当)

訂正するときは、二重線を引いて正しい内容を記入してください。訂正印は不要です。現在は移行期間ということもあり、不安になられる方も多いです。もし不安であれば、押印しておくと、従来の方法に則って受理されるので安心ですよ。(大阪市中央区役所窓口サービス課)

このように原則として訂正印は不要です。しかし、現在は印鑑廃止の移行期間であるため場合によっては訂正印を求められる可能性があるようです。婚姻届を提出する当日は実印や認印などを持参しておくと安心ですね。

 

捨印を忘れずに!

婚姻届を訂正した場合の捨印の例
捨印と訂正した文字数の記入例

二重線を引いて正しい内容を書き直したあと、捨印を忘れるカップルが多いようです。訂正箇所がある場合は必ず捨印欄に押印しておきましょう。また、上記の例のように訂正した文字数も書き込みます。「他にもミスがあるかも…」と不安な方は、婚姻届を提出する当日に窓口で書き込んでも構いません。

なお、婚姻届のフォーマットによっては捨印欄がないものもあります。その場合は用紙左側の余白に押印しておけば大丈夫です。なお、当然ですが、捨印は署名人の押印で使用した印鑑と同じものを使ってください。

ワンポイント!そもそも捨印ってなに?

捨印とは、訂正印として効力を持たせることができるようにあらかじめ押印しておく印影です。捨印さえあれば、役所で間違いが発覚した場合でもその場で訂正してもらうことが可能になります。ピンチを助けてくれる救世主のような存在ですね。

2021年9月以降は捨印も不要となりました。二重線と正しい内容の記入のみで訂正が認められます。(2021年10月追記)

証人欄の訂正方法

証人の捨印の例
証人の捨印は欄外の右側に

証人欄を訂正する方法は、最初に伝えた「3ステップ」と同じ(二重線と書き直し)です。証人になってもらう人へ、あらかじめ訂正方法を共有しておくのが良いでしょう。また、証人の捨印も忘れずに。証人には捨印欄がありませんので、上記の例のように欄外右側の余白に押印してもらいましょう。

2021年9月以降は証人の押印と捨印も不要(任意)となりました。もし後日証人の記入内容に誤りが見つかった場合も二重線と正しい内容の記入のみで訂正が認められますが、正しい内容の記入は証人の自筆でなければなりません。軽微なミスは役所の担当者に訂正してもらいたいという方は、あらかじめ捨印を押しておくことをおすすめします。(2021年10月追記)

婚姻届で書き間違いやミスが多いポイント

ここからは、婚姻届で記入ミスが発生しやすいポイントについて解説します。

氏名・住所などの書きなれた部分から、未成年・国際結婚といった特別なケースまで詳しく紹介!婚姻届を間違いなく記入するためにも、しっかりチェックしておきましょう。

1.氏名や署名のミス

氏名の訂正例
氏名の旧漢字はミスしやすいポイント

婚姻届の記入ミスで意外と多いのが「氏名・署名」といった名前の間違いです。ふだん書く機会が多い名前こそ、油断は禁物!記入するときは、以下のポイントに注意しましょう。

旧漢字は正しく表記

「崎・﨑」「高・髙」「広・廣」「沢・澤」「辺・邊・邉」など、さらには思わぬところに「ヽ(点)」がつくなど、姓名の漢字は人それぞれです。上の例のように旧漢字に関するミスは案外多いものです。必ず戸籍や住民票を確認しながら正式な漢字を記入するようにしてください。

旧姓で書く

嫁入り・婿入りにかかわらず、名前はふたりとも旧姓で記入する点にも注意しましょう。姓(名字)が変わるのは、婚姻届が受理されてからです。それまでは、どんな書類でも「旧姓表記」をするのが正式であることを覚えておきましょう。

2.住所や本籍、マンション名のミス

マンションやアパートの訂正例
住民票通りに記載する

婚姻届の記入ミスでよくあるのが「住所・本籍」の誤りです。

住所や本籍は、必ず住民票や戸籍に記載してあるとおりに記入します。マンション名は必要か。番地や号はどのように表記されているかなど、細部まで確認しながら書きすすめるのが良いでしょう。

また、本籍はかならずしも現住所であるというわけではありません。戸籍謄本や本籍表記ありの住民票を確認し、正しい情報を記入するようにしてください。

3.続き柄のミス

続き柄の訂正例
✕次男 → ◯二男

すんなり書けそうな「続き柄」も要注意!そもそも続き柄とは、家族間の関係性をあらわす表記のことです。長男・長女のように「長・二・三・四・五~」と表記します。

ちなみに、婚姻届では二番目であることを「次男・次女」と書きません。正しくは「二男・二女」となるので注意しましょう。

4.国際結婚や未成年の婚姻、再婚などの記入ミス

国際結婚や未成年の婚姻、再婚の場合には、記入における特有のルールがあります。それぞれのポイントをチェックしておきましょう。

国際結婚の場合

国際結婚の場合、氏名欄はカタカナ、本籍欄は正式な国名を日本語で記入します。また、署名欄にはパスポートと同じ表記のサインを自筆し、押印は不要です。

国際結婚の氏名欄の記入例
国際結婚の氏名欄の記入例
国際結婚の署名欄の記入例
国際結婚の署名欄の記入例(押印は不要)

未成年の場合

従来は婚姻者が未成年の場合、下図のように婚姻届の「その他」欄に父母(または養父母)2名からの同意署名と捺印が必要でした。

婚姻届のその他(未成年の婚姻への同意)の記入例
妻が未成年の場合の記入例

しかし、2021年9月からは印鑑が不要となり、2022年4月からは未成年(18歳未満)での婚姻が認められなくなることから、原則として親の同意署名と捺印はどちらも不要となります。

2022年4月の民法改正によって親の同意署名は不要に

2022年4月1日の民法改正によって成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。同時に、従来は結婚できる最低年齢が男性は18歳、女性は16歳だったものが男女ともに18歳へと統一されました。これを受け、従来は親の同意が必要であった未成年(18歳未満)の婚姻が認められなくなるため、親の同意が必要となるケースはなくなることになります。

なお、例外として民法が改正された2022年4月1日の時点で16歳以上の女性は、18歳未満であっても婚姻が認められるという経過措置が取られています。この対象者は、従来同様、未成年の婚姻とみなされ親の同意署名が必要となります。ただし、このケースにおいても親の署名のみ必要で押印は不要です。

2022年4月の民法改正のまとめ
  • 成年年齢が18歳へと変更された
  • 男女ともに成人である18歳から結婚できる
  • 未成年の婚姻が存在しなくなるため親の同意署名は不要
  • 経過措置として2022年4月1日時点で16歳以上の女性は結婚できるが、この場合は親の同意署名が必要

参考:法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」

再婚の場合

再婚の場合、婚姻届の「初婚・再婚の別」欄に前妻(夫)と別れた理由を「死別・離別」から選択し、発生日を記入します。この日付は、おおよその年月日でも問題ありません。また、婚姻歴が複数回ある場合は、直近の死別(離別)日を記入しておきましょう。

婚姻届の初婚・再婚の別の記入例(再婚の場合)
再婚の場合の記入例

婚姻届の印鑑でミスしやすいポイント

ここからは、婚姻届で使う印鑑の注意点について解説します。大前提として、婚姻届などの正式書類に「シャチハタ」を使うのはNGです。そのうえで、さらなる必須ポイントや、印影をキレイにうつすコツまで詳しく紹介!押印に失敗しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。

原則として印鑑は不要
2021年9月以降、婚姻届のすべての押印は不要(任意)となりました。任意で印鑑を押す場合は引き続き以下の内容を参考にしてください。(2021年10月追記)

1.新婦は旧姓の印鑑を使用する

嫁入りして名字が変わる女性は、必ず旧姓の印鑑を使用してください。もし持っていなければ、下の名前のみの印鑑でも認められます。(反対に、男性が婿入りする場合は、男性が旧姓の印鑑を使用します)

2.同姓でも別の印鑑を使用する

同姓の人が押印する場合は、それぞれ印鑑を用意しましょう。同姓だからといって、同じ印鑑を使いまわすと書類が認められません。以下のようなケースでは、とくに注意が必要です。

  • 婚姻する2人の名字(新郎姓と新婦旧姓)が同じ
  • 婚姻する2人と証人の姓が同じ(証人が「親兄弟や親戚」だと起こりうる)

3.印影は鮮明に

印影がしっかりうつるように押印時は朱肉を使いましょう。印影が欠けていたり薄かったりすると、書類が受理されない可能性があります。押印に失敗しないためには、捺印マットを使用するのがオススメです。マットが無い場合は、厚めのノートでも代用できます。

2021年9月以降、押印が必須ではなくなったため、不鮮明な印影(にじみ、欠け、かすれ等)がついた婚姻届であっても問題なく受理されるようになりました。良かれと思って押したもののキレイな印影にならなかった場合でも、そのまま提出して問題ありません。(2021年10月追記)

書き損じに備えてやっておくべき対策は?

書き損じを防ぐためにやるべきこと、また万が一ミスしてしまったときに慌てないための対策について紹介します。

書き損じ用の婚姻届を用意しておく

書き損じたときに慌てないよう、婚姻届は3~4部と多めに準備しておくのが安心です。最近はインターネットから無料ダウンロードできるサイトもあるため、チェックしてみましょう。

住民票・戸籍謄本を用意する

住民票や戸籍謄本には、氏名や住所をふくめた「正しい情報」が記載されています。これさえあれば、あとは必要な情報を丸写しするだけ!住民票は、役所やコンビニの印刷機。戸籍謄本は、本籍地の役所で発行してもらえます。

戸籍謄本の入手方法などについては婚姻届の提出に戸籍謄本は必要?不要?入手方法と必要書類、戸籍抄本との違いを解説で詳しくご紹介していますので、ぜひこちらもチェックしてください。

捨印を押印しておく

書類提出時に見つかったミスをその場で訂正するためには、捨印が必要です。届出人・証人ともに押印しておくと、再提出の事態をまぬがれます。希望日にちゃんと入籍するためにも、かならず捨印を押印しておきましょう。

2021年9月以降、婚姻届のすべての押印は不要となりました。書き損じを訂正する場合は二重線を引き、余白に正しい内容を記入するだけでOKです。(2021年10月追記)

不明点は都度相談する

婚姻届を記入するなかで不明点が出てきた場合、そのたびに役所へ相談すれば間違いありません。自分勝手な予測で書き進めるのはミスの元です。「何度も確認したくないな」という人は、婚姻届の全体に目を通し、不明点をまとめて相談するのが良いでしょう。

婚姻届が受理されないと何が起こる?

最後は、婚姻届に不備があり受理されないケースについて見ておきます。婚姻届が受理されないと、どのようなことが起こるのでしょうか。考えられる影響には次のようなものがあります。

入籍日が変わってしまう

「特別な日に入籍したい」と思っていても、その日に婚姻届が受理されなければ入籍日が変わってしまいます。漢字がちがう程度なら役所で訂正可能ですが、そもそも記入できていないなど書類不備だと受理してもらえません。あくまでも「受理日=入籍日」であることを押さえ、計画的に準備しておきましょう。

再提出の手間が大変になる

婚姻届が受理されないと、ミスの度合いに応じて再記入・再提出が求められます。場合によっては、証人2名に再依頼するハメになることも…。とにかく手間がかかるので、なるべくミスがない状態で提出できるよう対策しておきましょう。

結婚の準備や手続きに支障が出る

予定していた入籍日がズレることで、名義変更や会社関連の手続きに支障がでることも…。場合によっては、新居の契約や新婚旅行のパスポート手配に遅れが生じる可能性もあります。

計画をくるわせないためにも、婚姻届は一度で受理されるように仕上げましょう。なお、「婚姻届が受理されないケース」についてはその婚姻届、大丈夫?婚姻届が受理されないよくあるミスを解説でも詳しく説明しています。

「1分で振り返る」この記事のまとめ

今回は婚姻届の訂正方法や書き損じを防ぐためのコツをご紹介してきました。最後にこの記事の内容を1分で振り返ってみましょう。

記事のまとめ
  • 訂正方法は「二重線、書き直し、捨印」の3ステップ
  • 捨印を押印しておけば婚姻届の提出窓口でも訂正可能
  • 氏名や住所などの書き慣れた内容こそミスが多い
  • 住民票や戸籍謄本を用意して間違いを防ぐ
  • 印鑑は同姓であっても1人ひとり違うものを使用する

婚姻届を書き間違えてしまっても正しく訂正する方法を知っていれば、落ち着いて対処できますよね。ミスがあったとしても、予定通りに婚姻届が出せればそれで構いません。「間違いも良い思い出」になるよう、焦らず丁寧に書き進めましょう。

なお、記入見本を見ながら婚姻届を書きたいという方は【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説をご覧ください。

この記事を書いた人
ヒヤマココロ
大手ブライダル会社に10年以上勤務し、うち6年間はブライダルプランナーとして20代~50代のお客様を担当。現役時代は、年間最大100組ちかくの結婚式を担当していた傍らでマネジメントにも携わる。現在は二児の子育てをしながら、ブライダルやマナーの知識を活かしたライターとしても活動中。
保有資格:ビジネス文書検定2級、秘書検定2級