5分でわかる婚姻届の職業欄の書き方ガイド!国勢調査や職業名の疑問も解決

5分でわかる婚姻届の職業欄の書き方ガイド!国勢調査や職業名の疑問も解決

婚姻届の職業欄の書き方がよく分からないというカップルのために記入見本と書き方の注意点をご紹介します。世帯の考え方や国勢調査の年だけ記入すれば良い項目など、つまづきやすいポイントをわかりやすく解説していますのでぜひご覧ください。

目次

  1. 【記入例】婚姻届の職業欄の書き方
  2. 「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」の書き方
  3. 「夫妻の職業」の書き方
  4. 参考:職業例示表の分類
  5. 職業欄の書き方に関するよくある質問

婚姻届を書き進めると出てくるのが「職業欄」です。氏名や住所と違い、つまづきやすいポイントが含まれているため、書き方に頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、婚姻届の職業欄の書き方を記入見本で解説します。各項目の書き方はもちろん、世帯の意味や国勢調査などよくある疑問にもお答えします。婚姻届を書き損じなくスムーズに仕上げるためにも、ぜひ参考にしてください。

記事のポイント
  • 婚姻届の職業欄は2つに分かれている
  • 1つ目は同居前の職業を選択肢からチェック
  • 2つ目は国勢調査の実施年のみ記入する
  • 職業名がわからないときは役所に相談する

なお、職業欄に限らず婚姻届全体の記入方法を知りたい方は【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説をご覧ください。

【記入例】婚姻届の職業欄の書き方

まずは婚姻届の職業欄の記入見本(赤字が記入例)をご覧ください。

婚姻届の職業欄の記入見本
上下2つのパートで構成されています

職業欄は、大きく2つのパートに分けて考えていきます。

1つ目は「同居を始める前の夫妻それぞれの世帯の仕事」についてです。該当項目にチェックを付けるのみですが【世帯】の定義に注意する必要があります。

2つ目は「夫妻の職業」を記入する箇所です。具体的な職業内容については、厚生労働省の【職業例示表】を参照するよう求められます。こちらは5年に一度の国勢調査の年のみ記入必須(それ以外の年は記入不要)です。詳しくは後ほど解説します。

職業欄のポイント!
  • 2つのパートに分けて考える
  • 「夫妻の職業」は国勢調査の年のみ記入

以下、これら2つのパートについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」の書き方

同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事の記入欄
「世帯」を理解するのが記入のポイント

まずは1つ目の「同居を始める前の夫妻それぞれの世帯の仕事」から解説します。ここでは、印字された6つの選択肢から自身が当てはまる項目を選び、夫妻それぞれチェックを入れます。記入例は次の通りです。

同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事の記入例
該当する番号を夫妻それぞれチェック

このパートは「世帯の仕事」を明記する欄ですので、正しく記入するためには「世帯」が何を表しているのかを理解しておく必要があります。「世帯の考え方」を理解するために、いくつかパターンを例にあげて考えてみましょう。

同居前は夫妻ともに一人暮らしをしていた場合

同居前は一人暮らしというパターンなら「世帯の仕事=本人の仕事」です。この場合、一人暮らししていた本人の仕事について、該当箇所にチェックを入れるのが良いでしょう。

世帯とは「居住と生計をともにする人の集まり」のことを指すため、一人暮らしは「単身世帯」ということになるのです。

同居前は実家で家族と暮らしていた場合

同居前は家族と暮らしていたというパターンなら、世帯(居住・生計をともにする人)のなかで「もっとも高収入である人の職業」が世帯の仕事とされます。

もし、同居家族のなかで一番収入が多いのが父親であれば、婚姻届における世帯の仕事は、父親の仕事に当てはまる項目をチェックすることになります。

まだ夫婦で同居していない場合は?

婚姻届を提出する時点で夫婦が同居していないのであれば、現在の状態をもとに考えます。「一人暮らし=本人の仕事」もしくは「家族と同居=高収入の人の仕事」です。

以上を踏まえ、現在の自分にふさわしい方をえらび、該当箇所にチェックを入れていきましょう。

「世帯」と「仕事」のまとめ
  • 同居前の夫と妻それぞれの世帯の仕事を記入する
  • 一人暮らし(単身世帯)ならば本人の仕事を記入する
  • 実家暮らしならば家族の中で最も収入が高い人の仕事を記入する

どれをチェックすれば良い?6つの選択肢を解説

ここからは、6つの選択肢について解説します。適切な箇所にチェックできるよう、ポイントを押さえておきましょう。

1. 「農業だけ又は農業とその他の仕事を持っている世帯」

この項目があらわすのは、自分で農業を営んでいる、もしくは実家が農業というケースです。「農業とその他の仕事」とは、兼業農家のこと。兼業であってもメインの収入が農業であれば、こちらの項目にチェックを入れます。

2.「 自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯」

この項目があらわすのは、さまざまな業種における個人事業主や自営業者です。フリーランスで活動している人や、林業・水産業で事業展開している人、飲食店経営者や開業医もこちらの項目に該当します。

3.「企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)」

この項目があらわすのは、従業員数が100名未満の会社で働く常用勤労者です。「常用勤労者」とは、期間を定めず雇用されている人で、1年以上の雇用契約がされている人を指します。

すなわち、従業員数が100名未満の会社では働く正社員、もしくは契約社員(雇用契約1年以上)が該当するということです。

4. 「3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)」

この項目があらわすのは、先ほどの(3)に該当しない常用労働者、企業や法人における役員です。

すなわち、地方・国家公務員や、従業員数100名以上の会社社員、法人・団体・企業の役員が該当します。

5. 「1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯」

この項目があらわすのは、ここまで出てこなかったパート・アルバイト、派遣などの働き方をしている人です。

また(3、4)に記載の「日々または1年未満の契約雇用者」とは、日雇いや1年未満の契約ではたらく社員のこと。大企業に勤めていたとしても、契約内容によって該当箇所がかわるので注意しましょう。

6.「 仕事をしている者のいない世帯」

もし世帯のなかに仕事をしている人がいない場合は、こちらの項目を選択しましょう。具体的には、年金や給付金で生計を立てているケース、一人暮らし(自分が世帯主)で無職のケースなどが該当します。

「夫妻の職業」の書き方

夫婦の職業の記入欄
この欄は国勢調査の年のみ記入する

ここからは、職業欄における2つ目の項目「夫妻の職業」について見ていきます。

ポイントは、婚姻するお二人の「職業」を明記することです。世帯主の職業ではありません。なお、お二人のは自由に書いて良いわけではなく、書き方に決まりがあります。厚生労働省によって開示されている【職業例示表】を参照しながら、職業の名称もしくは番号を記入する必要があります。

なお、この夫妻の職業は5年に一度実施される「国勢調査」の年記入すればOKです。次回の国勢調査は2025年ですので「2025年4月1日〜2026年3月31日」の期間に婚姻届を提出するカップルのみ対象となります。それ以外の方は空欄のままで結構です。

婚姻届に記入する夫妻の職業とは?

先ほど説明したとおり、夫妻の具体的な職業は、厚生労働省が開示している「職業例示表」の中から選びます。それぞれの職業が12項目に分類されており、指定の番号もしくは職業分類名のいずれかを記入します。

番号を記入した場合の例

夫婦の職業に番号を記入した例

職業の分類名を記入した場合の例

夫婦の職業に職業名を記入した例

職業例示表がどのようなものかチェックしたいという人は、2020年(令和2年)版を参考にしてください。

自分の職業がどの分類に該当するかわからないときは?

もし「自身の職業分類がわからない」「正しく選択できているか不安」という場合は、婚姻届を提出する予定の役所へ問い合わせてみましょう。問い合わせ窓口は市区町村によって異なりますが、市民課・区民課や市民サービス窓口が一般的です。婚姻届の提出をスムーズに進めるためにも、疑問点は解決しておくのが安心です。

なお、この記事の後半の職業欄の書き方に関するよくある質問で職業分類について例をあげて紹介していますので、そちらも参考にご覧ください。

婚姻届の「夫妻の職業」は国勢調査の年だけ?書く理由は?

国勢調査の書類
次回の国勢調査は2025年

先ほども説明しましたが、婚姻届における「夫妻の職業」欄は、5年に一度の国勢調査の年に婚姻届を提出する人だけで構いません。

次回この欄への記入が求められるのは、2025年(令和7年)4月1日〜2026年(令和8年)3月31日に婚姻届を提出するカップルです。この期間以外に提出する場合は、空欄のままで問題ありません。

次の国勢調査はいつ?婚姻届を記入するために知っておこう

国勢調査の年職業記入が必須となる入籍日
2025年2025年4月1日〜2026年3月31日
2030年2030年4月1日〜2031年3月31日
2035年2035年4月1日〜2036年3月31日
2040年2040年4月1日〜2041年3月31日

また、国勢調査の年にこの欄を記入しなければならない理由は、日本経済の発展とともに多様化していく職業を把握するためです。この調査は、雇用・失業政策や教育開発の計画に役立ててあるため、記入漏れがないよう注意しましょう。未記入の場合は婚姻届が受理されません。

参考:職業例示表の分類

職業例示表では以下のように12項目に分類され、00〜11までの番号が付与されています。

番号職業分類名
01管理職
02専門・技術職
03事務職
04販売職
05サービス職
06保安職
07農林漁業職
08生産工程職
09輸送・機械運転職
10建設・採掘職
11運搬・清掃・包装等職
00無職

出典:厚生労働省 職業例示表(令和2年)

この表の読み方で注意したいのは、わたしたちが一般的に使っている職種名とやや異なるということです。例えば、一般的に「管理職」は会社の役職者を指して使いますが、職業例示表が示す「管理職」は意味が異なり、議員や会社役員なども含みます。

職業欄の書き方に関するよくある質問

このパートでは、職業欄を書くときに出てくる疑問をよくある質問としてまとめて解説します。

こんな職種はどれを選べば良い?

自分の仕事がどの分類に当てはまるのか迷ってしまう方も多いと思います。一般的な仕事の例をいくつか取り上げ、職業例示表の分類をご紹介します。

仕事名と職業分類の対照表

※1:ケアマネージャーの場合は専門・技術職(02)
※2:家事手伝いは「報酬を伴わない場合」は無職(00)。報酬を伴う場合はサービス職(05)

いかがでしょうか。こうして見ると簡単に感じますが、上記の「介護」の例のように、同じ業界であっても仕事内容によって分類が異なるケースもありますので注意が必要ですね。

あるいは、一般的に同じ仕事名で呼ばれる職種であっても分類が異なるケースもあります。例えば、ひとくちに公務員といっても、議会議員(01管理職)、教師(02専門・技術職)、警察官や消防士(06保安職)などが一例です。もし記入に迷う場合は役所に相談するようにしましょう。

フリーターやパートタイムの場合はどう書けば良い?

フリーターやパートタイムをしている場合、職業欄の書き方に悩む人もいるのではないでしょうか。しかし、ここで問われているのは「職種」ですので、フリーターやパートタイムであっても書き方は変わりません。ふだん従事している仕事をもとに、当てはまる職業分類名を記入しましょう。

ちなみに、国勢調査でもフリーターやパートタイムは正社員や派遣社員とおなじ「雇われている人」という分類に属しています。国勢調査では雇用形態は関係ありません。詳しくは令和2年国勢調査表の記入のしかた(PDF5枚目の右下14番「勤めか自営かの別」)をご覧ください。

主婦(主夫)や家事手伝いの場合は職業欄はどう書けば良い?

婚姻する夫妻のどちらか一方が、主婦(主夫)ということも珍しくありません。基本的に、給与が発生しない専業主婦や家事手伝いは、職業例示表だと【無職(00)】に該当します。

国勢調査でも同様に、家事は「少しも仕事をしなかった人」という部類に位置づけられています。これにより、家事は「無職」であることがわかります。さきほどと同じく、詳しくは令和2年国勢調査表の記入のしかた(PDF5枚目の右上11番「1週間に仕事をしましたか」)をご覧ください。

国勢調査の年じゃないのに夫妻の職業を書いてしまったら?

万が一、国勢調査ではない年に夫妻の職業を記入してしまったとしても全く問題ありません。

もし記入したことを不安に思う場合は、事前に役所へ問題ないかどうか確認してみると良いでしょう。もしくは、二重線で消して訂正印を押すことで、削除の意味をもたせることができます。婚姻届をキレイに仕上げたいという人は、新しい婚姻届に書き直すのがおすすめです。

2021年9月1日からの婚姻届の印鑑廃止にともない、書き間違いへの訂正印は不要となりました。二重線で消し、余白に正しい内容を記入してください。捨印も不要です。(2021年10月追記)

婚姻届の訂正方法について詳しくは落ち着いて!婚姻届を訂正する方法と印鑑について分かりやすく解説をご覧ください。

まとめ

婚姻届の職業欄はむずかしく考えがちですが、内容さえ理解していればかんたんに書き進めることができます。2つあるパートのうち、2つ目の夫妻の職業は国勢調査の実施年(次回は2025年)のみ記入すればよいということもぜひ知っておきましょう。

この記事を参考にお二人で協力して婚姻届を書き上げ、素敵な入籍日を迎えられることを願っています。

この記事を書いた人
ヒヤマココロ
大手ブライダル会社に10年以上勤務し、うち6年間はブライダルプランナーとして20代~50代のお客様を担当。現役時代は、年間最大100組ちかくの結婚式を担当していた傍らでマネジメントにも携わる。現在は二児の子育てをしながら、ブライダルやマナーの知識を活かしたライターとしても活動中。
保有資格:ビジネス文書検定2級、秘書検定2級