目次
ふたりの婚姻が認められるために必要なのが「証人」です。家族や友人、仕事でお世話になった人など、大切な人にお願いするなら失礼がないようにしたいですよね。
この記事では、婚姻届における証人の選び方にくわえ、依頼するうえでの基本マナー、記入するときの注意点について詳しく説明します。気になる先輩カップルの証人については、アンケート結果をもとに解説!
証人を誰にお願いしようか、どのように依頼するのがいいか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
2021年9月から婚姻届に印鑑は不要となりました。この記事の印鑑に関する部分には、2021年10月現在の最新の内容を追記しています。
婚姻届の証人とは
婚姻届の証人とは「結婚するふたりがお互いに同意している」ことを証明する人のことです。資産相続を目的とした偽装結婚や、一方的な好意による婚姻届の無断提出を防ぐなど、婚姻の正確性を高めるために、証人が求められます。
このような証人の必要性については、民法739条「婚姻の提出」で定められており、婚姻届内には「成人2名の選出」と、本人による「記名・捺印」をする欄がもうけられています。
証人の選び方に決まりはあるの?
民法で婚姻届に証人の署名が必要であると定められていることは先ほど説明しましたが、選び方の基準に決まりはあるのでしょうか?
結論からお伝えすると、証人の選び方について細かい規定はありません。
婚姻届の証人の署名は以下の条件さえ満たしていればOKで、親や兄弟はもちろん、友人、知人、外国人など、だれであっても証人として認められます。
- 証人が成人であること
- 本人直筆の署名と押印がされていること
「証人になってもらいたい」という人がいれば、婚姻者それぞれから1名ずつ選出するパターン、もしくは片側から2名選出するパターン、どちらでもOKです。
「自由に決めていいとなると迷ってしまう…」という方もいらっしゃるでしょう。先輩カップルは誰に証人をお願いしたのか、どのような理由や思いでその人を選んだのかについては、この記事の後半でアンケート結果を交えてご紹介します。
証人欄に署名してもらうことで絆を深めることができる
証人欄に署名してもらう行為は、婚姻するふたりと相手の絆を深めることにつながります。とくに家族以外でお願いする場合は、その人がふたりにとって「特別な存在」であることを伝えるメッセージにもなりますよね。
署名を通じて「結婚報告と感謝の思い」を伝えられるため、ふたりにとって大切な人の中から選ぶのが良いでしょう。
証人欄を書いてもらうときの頼み方
ここからは、証人欄を書いてもらうときの依頼方法について解説します。相手にこころよく引き受けてもらうためにも、ポイントを押さえておきましょう。
証人になってほしいことを事前に伝えておく
証人になってほしい人が決まったら、結婚報告とあわせて証人欄に署名してもらいたい旨を事前に伝えましょう。「なぜあなたにお願いしたいのか」という理由も付けくわえられると、特別感がアップします。
伝え方は、対面がむずかしければ電話でも構いません。証人欄の記入項目などをあらかじめ伝えておけると丁寧です。
婚姻届は手渡しするのが基本マナー
婚姻届は、手渡しして対面で記入してもらうのが基本マナーです。できれば婚姻するふたりが相手のもとへ一緒に出向くのが良いでしょう。また、たとえ友人などの親しい間柄であっても、証人になってもらう感謝を込めて菓子折りを持参するをおすすめします。
一方、遠方在住の家族にお願いする場合など、対面して手渡すことが難しいケースもあるでしょう。そうした場合は婚姻届を郵送するのもありです。ただし、「失礼ながら郵送させていただきます」と一言添えると相手の心象が良くなるはずです。
お二人の記入箇所はすべて書いてから渡す
手渡しと郵送、どちらの場合であっても、婚姻届を渡すときは証人欄以外の部分をすべて埋めておくことをお忘れなく。お二人で記入、押印まで済ませた状態にし、最後に証人欄へ記入してもらうようにしてください。
結婚する二人の箇所が未記入のまま証人を書いてもらうことはご法度です。空欄の婚姻届けを受け取った相手からすれば、「一体、だれの結婚に証人として署名するんだ!?」となりますよね。
署名を依頼するときに注意したいポイント
このパートでは証人に署名をお願いするときの注意点について説明します。相手に不快な思いをさせることなく、快く応じてもらうためにぜひ参考にしてください。
結婚する相手の人となりやエピソードを伝えよう
証人になってもらう人には、結婚相手とのエピソードを簡単に伝えておきましょう。交際期間や結婚を決意するにいたったエピソード、結婚式の予定など、相手の人柄がわかるよう伝えておけると好印象です。
また、証人欄への記入はただの事務作業ではありません。「とりあえず書いて」という軽々しい態度をとらないよう注意してください。
婚姻届の提出時期を伝えておき、提出後は必ず報告しよう
婚姻届の提出時期が決まっているのであれば、あらかじめ相手に伝えておきましょう。もし証人欄への記入に数日要するのであれば、いつまでに記入してほしいか伝えておくとスムーズです。
また、婚姻届を提出したあとは報告も忘れずに。「婚姻届は無事に出せたのかな」「不備は無かったかな」と相手に心配させないよう配慮することも大切です。
証人2名への依頼の順番はどうする?
証人欄を記入してもらうとき、依頼した2名のどちらから先に書いてもらうのが良いか悩む人もおおいはず。もし迷ってしまった場合は、目上の人から先に書いてもらうのが良いでしょう。
もし両家の親に証人をお願いする場合は、新郎側から書いてもらうのがおすすめです。
みんなは誰に婚姻届の証人をお願いした?100名アンケート
婚姻届の証人はだれにお願いするのが一般的なのでしょうか。先輩カップル100名にアンケート調査をおこなったところ、圧倒的に多かったのが「親」という回答で全体の73%を占めました。兄弟や親族という回答を含めると、8割以上のカップルが親族を証人に選んでいることがわかります。
親の次に多かったのが知人友人で12%、上司や同僚などの仕事関係は4%にとどまりました。これらの結果から、親族以外に証人を頼む方は少数派と言えそうです。
また、このアンケートでは証人を選んだ理由も調査しました。なぜその人を選んだのか?という先輩の声はきっと参考になるはずです。
親や兄弟、親族に頼んだ先輩の声
親に頼んだケース
一家の大黒柱に頼みたかった
お互いの父親に頼みました。なにごとも大黒柱の家族の代表としてが父だったので、父に頼みました。(36歳 女性 神奈川県)
親に頼むのが常識だと思った
私は実の父、夫も夫の実の父に婚姻届の証人をお願いしました。親に聞いたり、ネットで調べて、常識的だと思う選択をしました。(37歳 女性 香川県)
結婚を認めてもらった証として
はじめは親から自分たちの結婚を反対されていたため、結婚を認めてもらった証として親を証人に選びました。(32歳 女性 埼玉県)
実家暮らしで身近だった
私も夫も当時は実家暮らしで、親は一番身近な存在で頼みやすいし、親がすぐ近くにいるのにわざわざ他の人に頼むという考えはありませんでした。(43歳 女性 熊本県)
一番手っ取り早かった
正直誰に頼んでも良かったのだが、親に頼むのが一番手っ取り早かった。友人に頼むのは、自分が頼まれた時のことを想像してみると、ちょっと荷が重いというか気が引けたのでやめた。(42歳 女性 神奈川県)
兄弟に頼んだケース
両家のバランスを考えて
妻には父親がおらず、お互い一人づつ兄弟がいたので、バランスを考えてそれぞれの兄弟にお願いしました。(47歳 男性 宮城県)
兄弟が一番気軽に頼めた
兄弟がもっとも気兼ねなく頼める相手だったためお願いしました。また、近隣に住んでおり郵送などをせずに依頼できることも理由のひとつです。(42歳 女性 千葉県)
親族に頼んだケース
2人を引き合わせてくれた恩人
夫を紹介してくれた叔父と叔母夫妻にお願いしました。(49歳 女性 茨城県)
日頃お世話になっていたから
叔父にお願いしました。理由は、いつもお世話になっていましたし、字が上手だったからです。(30歳 女性 茨城県)
親兄弟や親族を選んだ方の意見でもっとも多く見られたのが頼みやすさという理由でした。両親に結婚を認めてもらった証として、またはお二人を引き合わせてくれた親族への感謝の証としてなど、みなさんそれぞれの証人選びに思いが感じられますね。
- これまでの感謝を伝えることができる
- とにかく頼みやすい(ほぼ断られることはない)
- 訂正や書き直しが発生したときに依頼しやすい
ちなみに、親に証人になってもらう場合、親の性別は揃えたほうが良いのでしょうか?先程のアンケートで『婚姻届の証人は親にお願いした』たと回答した73名に質問してみました。
証人2名の親の性別は揃えた?
証人2名を各自の父親(または母親)で『揃えた』という回答が63%で最も多い結果になりました。両家で父と母に証人の性別が異なる『揃えなかった』という回答が15%、新郎新婦どちらかの両親2名に証人になってもらった『どちらかの両親2名』という回答は12%となりました。どちらか一方の両親に証人になってもらうケースも少なくないようですね。
友人知人に頼んだ先輩の声
2人の共通の友人に頼んだ
妻と私の共通の友人で、大学時代から良く知っていて、とても仲良くさせて貰っており、先に結婚していた事もあり、人生の先輩としてお願いしました。(37歳 男性 東京都)
先輩夫婦の仲にあやかりたかくて
夫婦ともに結婚以前より親しくしており、その夫婦仲も良かった方だからある意味あやかりたかったため。(47歳 広島県 女性)
両親に頼めない事情があった
主人は両親との仲が疎遠でした。私の両親2名に依頼しても良かったが、私側の証人しかいないように感じたため、お互いの友人にお願いするという形をとりました。(36歳 女性 埼玉県)
- 夫婦ともに親しい友人だと祝福してもらえる
- 親に頼めない事情がある場合に頼みやすい
出会いのきっかけを作ってくれた友人や長年付き合いのある親友は、これまでの御礼と結婚の報告を込めて依頼する相手としてうってつけ。おふたりが目指す理想の夫婦像としている恩人夫婦に頼むことで尊敬と感謝を表現するケースもあるようですね。
上司同僚など仕事関係の人に頼んだ先輩の声
仕事でお世話になっていた先輩に
たいへんお世話になっていて信頼のおける先輩で、結婚するときは証人をお願いしようとずっと思っていたから。(48歳 男性 大阪府)
仕事関係しか知り合いが居なかった
二人とも実家のある県から離れ、新しい居住地の知り合いが会社の人達しかいなかったから。また、結婚後に仕事等でお世話になることも決まっていたため最適だと思って依頼しました。(54歳 女性 東京都)
職場結婚だったから
彼の職場で出会って、交際期間もずっとお互いの相談相手になってくれていた上司だったから。(24歳 女性 鳥取県)
- 日頃の感謝や相手への敬意を示すことができる
- 日常的に接する時間が長く頼む機会を作りやすい
就職や転勤をきっかけに地元から離れた方には、常日頃顔を合わせる機会のある職場の上司や同僚はかけがえのない存在です。いつもお世話になっている上司や同僚に、感謝と尊敬、結婚の報告を伝えつつ、婚姻届の証人欄の記入をお願いしてみてはいかがでしょうか。
【記入例で解説】婚姻届の証人欄の書き方
1.署名・押印・生年月日
署名はかならず直筆です。漢字に旧字体を使用している場合は、戸籍に記載してある正しい漢字で署名してもらいましょう。
押印につかう印鑑はシャチハタ不可。実印と認印どちらを使用しても構いません。生年月日は、婚姻届内の表記にあわせて和暦で記入してもらってください。
2.住所
住所は住民票のとおりに記入します。もし不明確な場合は、あらかじめ住民票を用意して確認してもらえるとスムーズです。
印字されている「番地、号」のなかで使用しないものがあれば、上から線を引いて削除するのが良いでしょう。
3.本籍
本籍は戸籍のとおりに記入します。住民票の住所と異なる可能性があるため、あらかじめ確認しておいてもらえると安心です。
先ほどの住所欄と同様に、印字の「番地、号」は使用しなければ線を引いて削除しても良いでしょう。
証人欄の書き方は以上です。この他の項目を含めた婚姻届の書き方をもっと詳しく知りたい方は【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説をご覧ください。
証人の印鑑に関する注意点
証人欄における印鑑の使いかたについて、いくつか注意点を説明します。
万が一あとでミスが発覚すると、再度証人欄への記入をお願いしなければいけません。相手に「申し訳ない」と思わせないためにも、ポイントを押さえておきましょう。
シャチハタは不可
婚姻届は法的書類であるため、インク浸透式のゴム印(シャチハタ)は使用できません。実印、もしくは認印を用意してもらいましょう。
2021年9月からスタートしている印鑑廃止。新ルールでのシャチハタの使用について役所の担当者にインタビューした結果は次の通りです。
2021年9月以降、シャチハタやゴム印で押した印影つきの婚姻届は受理されますか?
押印が任意とはいえ、シャチハタやゴム印は認められません。押印いただく場合は、朱肉を付けるタイプの印鑑を使用してください。(世田谷区役所戸籍担当)
シャチハタやゴム印は「なりすまし」ができるものなので、そもそも法的書類に使用できないものです。押印の際は、必ず朱肉を付ける印鑑を使用してくださいね。(大阪市中央区役所窓口サービス課)
証人が同姓なら2種類の印鑑が必要
夫婦や親兄弟に依頼する場合は、証人が同姓になる可能性があります。その場合、1つの印鑑を双方に押印することはできません。
必ず2種類用意し、それぞれ押印してもらうよう伝えましょう。
訂正印・捨印を忘れずに
記入ミスがあったときに焦らないよう「訂正印」の使いかたを伝えておきましょう。誤った箇所に二重線と押印してもらえれば、訂正の意味をもたせることができます(証人欄の訂正箇所への押印は任意)。
また、正しく記入してもらえた場合でも「捨印」を押してもらうことをおすすめします。役所へ提出後にミスがわかった場合、軽微ミスとして処理してもらうことができるからです。証人専用の捨印欄はないので、枠外右側に押してもらいましょう。詳しくは、下図を参照してください。
「1分で振り返る」この記事のまとめ
最後に、この記事の内容を1分で振り返ってみましょう。
- 証人の選び方に細かいルールはない(成人であればOK)
- 73%のカップルが親を証人に選んでいる
- 証人には直接対面して婚姻届を手渡すのが基本
- 証人欄は住民票や戸籍通りに正しく記入してもらう
- 記入ミスに備えて捨印を押してもらう
婚姻届の証人は、ふたりの人生にたずさわる大切な人です。「その人の存在があったから今の自分がある」といえるような大切な人の中から選び、お願いするのが良いでしょう。
感謝の思いをそえてお願いすれば、きっと快諾してくれるはずです。大切な人との絆をさらに深めるためにも事前準備を怠らず、依頼内容はしっかり把握しておいてくださいね。この記事が悩めるあなたの参考になれば幸いです。