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婚姻届の提出を調べているとよく出てくる言葉が「戸籍謄本」ではないでしょうか。しかし、「そもそも戸籍謄本って何?」「私たちにも必要なの?」「入手方法は?」など疑問点が沢山あると不安ですよね。
そこで今回は、戸籍謄本とはどんな書類で、どんな場合に必要となるのかや、入手方法について詳しく解説していきます。記事の後半には戸籍謄本に関するよくある質問についてもお答えしていますので、参考にしてみてくださいね。
- すべての人に戸籍謄本の提出義務があるわけではない
- まず、自分たちは提出が必要なのかどうかチェックしよう
- 提出が必要な場合はこの記事を参考に入手方法を理解しよう
婚姻届の提出に戸籍謄本が必要なケース
婚姻届の提出には必要な書類は以下の3つです。
- 記入済みの婚姻届
- 本人確認書類
- 戸籍謄本(提出不要なケースも)
1と2は必須ですが、3の戸籍謄本は、人によって必要な場合と不要な場合がある点に注意しましょう。
戸籍謄本が必要な場合と不要な場合
上図のように、戸籍謄本が必要になるのはふたりの本籍地(自治体)と婚姻届を提出する役所が異なる場合です。戸籍謄本が必要かどうか、以下の項目からチェックしてみましょう。
- 提出先とふたりの本籍地が同じ→戸籍謄本はふたりとも不要
- 提出先と彼のみ本籍地が異なる→戸籍謄本は彼のみ必要
- 提出先と彼女のみ本籍地が異なる→戸籍謄本は彼女のみ必要
- 提出先とふたりとも本籍地が異なる→戸籍謄本はふたりとも必要
戸籍謄本の入手には時間がかかります。戸籍謄本の入手が必要な場合は、希望する入籍日に婚姻届を提出するためにも早めに戸籍謄本をもらいにいきましょう。
戸籍謄本が必要な方は、このまま記事を読み進めて謄本の入手方法や必要書類を理解しましょう。不要な方は【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説を参考に、お二人で婚姻届の記入を進めてください。
そもそも戸籍や戸籍謄本って何?
戸籍や戸籍謄本はその人の親族関係・本籍地を表す公文書です。どのような情報が載っているのか、どんな場合に必要になるのかを理解していきましょう。
戸籍とは?
戸籍とは、私たち一人一人の身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)を記録した公文書です。同じ氏(苗字)の夫婦とその子供(未婚)によって構成されています。戸籍には、本籍地(住所)、それぞれの名前・生年月日、父母の氏名などが記載されています。
戸籍謄本とは?
戸籍謄本の正式な名称は「戸籍全部証明書」といい、戸籍原本をそのまま写したもので、戸籍に入っている全ての人の情報が詳細に記載されている証明書です。婚約届の提出に必要になるのがこの「戸籍謄本」です。
戸籍謄本に書いてあるのはこんな項目
本籍 | 本籍地の住所が記載されています。 |
氏名 | 筆頭者(戸籍の最初に記載 される方)の氏名です。 戸籍に載っている全員が筆頭者の氏を名乗ります。 |
戸籍編成 | 戸籍の編成日(戸籍が作られた日)などの情報が記載されます。 |
戸籍に記録されている者 | 個人の名前や生 年月日、父母の氏名、父母 からの関係(続柄)など基本的な情報が記載されます。 |
身分事項 | 出生や婚姻など、戸籍上の出来事が記載されています。 |
婚姻届の提出に戸籍謄本が必要な理由
婚姻届が無事受理されると、それぞれの両親の戸籍から抜けて新たに2人の戸籍が作られます。この戸籍情報の変更のために戸籍謄本が必要になるのです。
しかし、戸籍謄本は本籍地の自治体に保存されているため、婚姻届の提出先が本籍地の自治体の場合、こちらがわざわざ用意する必要はありません。本籍地と異なる自治体に婚姻届を提出する場合は戸籍情報がもともと保管されていないため、戸籍謄本も合わせて提出する必要があるのです。
戸籍謄本と戸籍抄本の違いとは?
戸籍謄本と戸籍抄本との違いは、記載されている人の数です。戸籍謄本はその戸籍に属する全ての人の情報が記載されているのに対し、戸籍抄本は提出する本人など一部の人の情報のみが記載されています。
婚姻届の場合は、家族構成などの詳細な情報が必要になるため、戸籍全員の情報が記載された「戸籍謄本」を用意しましょう。
戸籍謄本のもらいかた
戸籍謄本は、役所、郵送、代理人など複数の方法で入手することができます。それぞれの特徴を理解し、ご自身にあった方法を選んでいきましょう。
1.本籍地のある役所の窓口で入手する
こちらは、ご自身の本籍地のある役所に行って直接戸籍謄本を入手する方法です。
- 戸籍謄本をすぐに、確実に入手したい人
役所に行くと、戸籍謄本をその場で発行してもらえるので、希望する入籍日が近く早く戸籍謄本用意したいという方や、説明などを受けながら確実に入手したいという人におすすめです。
入手の手順
役所の窓口またはホームページから「戸籍申請書」を入手し、必要な情報を記入して提出します。書類に不備がなく本人確認が問題なく済めば、戸籍謄本が交付されます。役所に行く前に申請書の入手から記入まで終わらせていると手続きがスムーズです。
必要書類
- 記入済み戸籍申請書(事前にダウンロード可能)
- 本人確認書類
- 印鑑
入手までの目安日数/費用
即日/450円
2.郵送で入手する
こちらは戸籍謄本入手に必要な書類を郵送し、後日戸籍謄本を郵送にて入手する方法です。
- 本籍地が遠方で足を運べない
- 忙しいために窓口に行く時間がない人
- 戸籍謄本をすぐに入手する必要がない人
入手の手順
戸籍謄本郵送請求書をHPからダウンロードして、記入、必要書類とともに郵送する
戸籍のある役所のホームページから「戸籍申請書(または郵送請求用の申請書)」を入手して印刷し、必要事項を記入します。本人確認書類のコピーや、送金用の定額小為替、返信用封筒などと共に役所の担当窓口へ郵送します。
必要書類(郵送する書類)
- 記入済み戸籍申請書(または郵送請求用の申請書)
- 本人確認書のコピー(両面をコピーしたもの)
- 定額小為替(1通:450円)
- 返信用封筒(請求者の方の住所、氏名を記入し、切手を貼ったもの)
入手までの目安日数/費用
1週間~2週間程度/450円+往復の送料
3.親などの代理人に入手してもらう
こちらは、ご自身ではなく、両親などに入手手続きを代行してもらう方法です。代理人の場合も窓口と郵送のいずれかで手続きすることになりますが、分かりやすいように3つ目の方法として代理人を分けて解説します。
- 本籍地が遠方(実家近く)で足を運べない
- 本籍地の窓口に行きやすい代理人がいる
入手の手順
代理人を通じた手続きになりますが、基本的には窓口や郵送のパートで紹介した方法と同様の手順で入手可能です。手続きを行う代理人によっては委任状が必要な場合もありますのでご注意ください。(詳しくは記事の後半の戸籍謄本の入手を代理人に依頼する場合の注意点で解説します)
必要書類
- 窓口/郵送のパートで紹介した必要書類と同じもの
- 委任状(誰に委任するかで必要か不要か異なります)
入手までの目安日数/費用
- 窓口の場合:即日/450円
- 郵送の場合:1週間~2週間程度/450円+往復の送料
戸籍謄本の申請に必要な本人確認書類
戸籍謄本の申請には、窓口と郵送どちらの場合でも本人確認書類の提出が必要です。代理人の場合には、加えて代理人自身の本人確認書類も必要となります。
本人確認を証明する書類の例
1種類の提示でOKなもの
次のように公的機関が発行した顔写真付きの身分証明証であれば1つのみの提示でOKです。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- パスポート
- 写真付き住民基本台帳カード
- 在留カード
- 国又は地方公共団体の機関が発行した身分証明書
- 身体障害者手帳 など
2種類以上の提示が必要なもの
次のようにな顔写真なしの身分証明証や学校法人が発行した証明書の場合は2種類を用意する必要があります。
- 国民健康保険、健康保険などの被保険者証
- 共済組合員証
- 国民年金手帳
- 写真無し住民基本台帳カード
- 学生証 など
戸籍謄本の入手を代理人に依頼する場合の注意点
戸籍謄本を代理人に入手してもらう場合、頼む相手によって、委任状の有無が変わります。どんな時に委任状が必要なのか、そして委任状の書き方について深めていきましょう。
親や兄弟など同じ戸籍にある親族は委任状なしでOK
特に本籍が遠方の実家である場合は、代理人として最も多いのが親ではないでしょうか。親に戸籍謄本の入手を依頼する場合は委任状は不要です。一般に委任状なしで申請できる親族は次の通りです。
- 親(直系親族)
- 子(直系親族)
- 未婚の兄弟(同じ戸籍に記載)
- 配偶者
親や未婚の兄弟に頼む場合は不要ですが、知人や友人など、上記以外の方を代理人として申請する場合は、委任状が必要です。
委任状の書き方
委任状は、すべての内容を委任者が自筆で記載する必要があります。役所の窓口に持参するのは代理人ですが、必ず委任者(新郎または新婦)が記入して代理人に渡すようにします。
委任状のフォーマットと記入例はこれ!
記入項目は極めてシンプル。上記のように、委任者と代理人それぞれの住所、氏名、生年月日、電話番号、代理人に委任する行為や権限を記載します。役所のホームページでフォーマットをダウンロードするか、自分でパソコンや手書きで作成したものを使用してもOKです。必要事項さえ書いてあれば効力を発揮します。
2021年には各種行政手続きで印鑑が廃止される法改正が行われていますが、委任者の方だけは実印または認印を押印することをおすすめします。自治体によっては、書類提出者(この場合は代理人)以外の第三者(この場合は委任者)が作成する書面においては、第三者の意志確認のために印鑑を継続して求めるケースがあるためです。
用意した委任状を提出するのは代理人になりますので、そのときに第三者として書面作成した委任者(つまり、新郎または新婦)の意志を確認する証拠として印鑑が必要というわけですね。将来は印鑑不要になる可能性もありますが、押印しておくほうが安心でしょう。
戸籍謄本に関するよくある質問
ここまで婚姻届と戸籍謄本についての基本を解説してきました。最後に、結婚準備における戸籍謄本に関してよくある疑問にお答えします。
早めに入手したい!戸籍謄本に有効期限はあるの?
戸籍謄本の有効期限はありませんが、戸籍情報の正当性をきちんと示すためにも、なるべく直近に取得されたものを添付する方がベター。また入手してから時間が経っていると、ご家族の戸籍情報が変わってしまっている(ご兄弟の結婚など)可能性もあるので、注意が必要です。
何部入手しておく?結婚準備のなかで婚姻届以外に戸籍謄本を使う事はあるの?
結婚準備のなかで、戸籍謄本は婚約届の添付書類以外にあまり使われることはありません。新しい戸籍謄本は氏名変更などで使う場合もありますが、婚約前の戸籍謄本は婚姻届の提出時に必要な枚数のみの準備で十分でしょう。
ふたりの新しい戸籍ができるまでどのくらいかかるの?
申請が問題なく通れば、早くて1日遅くとも1週間ほどで作られます。一方で審査に時間がかかったり、書類に不備がある場合は2週間ほどかかる可能性も。本籍地を置く自治体で申請を行うと、比較的早く新しい戸籍ができる傾向があります。
入籍後は新しい戸籍謄本を入手しておいたほうが良いの?
新しい戸籍謄本は、入籍後の氏名変更手続きで必要となります。よくあるケースが海外へのハネムーン旅行。パスポートの氏名変更時には新しい戸籍謄本の提出が求められます。氏名変更手続きに時間がかかることも考えられるので、ハネムーンの出発日に間に合うよう余裕を持って入手、申請を行いましょう。
「1分で振り返る」この記事のまとめ
今回の記事では、婚姻届の提出で必要となることがある「戸籍謄本」について詳しく解説していきました。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 戸籍謄本が必要なのは、本籍地と提出先の自治体が違うとき
- 戸籍謄本の入手方法は「窓口、郵送、代理人」の3つ
- 代理人に依頼する場合は委任状が必要かどうか調べる
- 委任状はすべて委任者(あなた)が自筆し、押印する
氏名が変わり、夫婦として正式に認められる手続きである「婚姻届の提出」。提出日がそのまま入籍日となるのでこだわりを持って日程を決めるカップルも多いのではないでしょうか。
沢山の思いが詰まった入籍日をきちんと迎えられるように必要な書類は時間に余裕を持って用意しましょう。この記事があなたとあなたの大切な人の幸せな結婚の一助になれれば幸いです。
無事に戸籍謄本を入手できたら、いよいよ婚姻届の記入に取り掛かりましょう。婚姻届のルールや書き方を詳しく知りたい方は【見本&記入例】婚姻届の書き方マニュアル!入籍の必要書類と流れを解説をぜひご覧ください。