結婚が決まったら、まずは結納や顔合わせ食事会をする人も多いですよね。なかでも、結納は日本の伝統的な婚約の儀式とされています。そんな結納も、今では内容を簡略化した略式結納が主流のようで、服装もどの程度フォーマルなものを用意すればいいのか悩むところです。
この記事では、そんな結納を控えた新郎新婦やご両親の服装マナーについて、
元着物屋店長のライターが解説します。
結納の服装は3パターン
結納の服装は大きく次の3つのパターンに分かれており、格式が最も高いとされている正礼装は第一礼装とも呼ばれています。
- 正礼装(第一礼装)
- 準礼装
- 略礼装
結納の服装を決めるにあたり、どのような形で結納を行うのか、また和装か洋装でどのような服装を予定しているかを事前に両家で情報共有しておくことが大切です。
それでは、ここからは具体的に形式別・着用者別で結納の服装を解説していきます。
正式結納の服装は正礼装
本来の伝統的な結納である「正式結納」には、縁談をまとめ、結婚式までの段取りを一手に担う仲人と呼ばれる「仲人」が存在します。両家が直接顔を合わせずに、仲人が両家を行き来して執り行われるが特徴です。
正式結納での服装は基本的に正礼装を着用します。新郎新婦や両親などの家族も含めて、正式結納にふさわしい服装を詳しく見ていきましょう。
男性(新郎)は羽織袴かスーツ
和装の場合は五つ紋付羽織袴が正式な服装です。日本の伝統的な服装なので、新婦側が振袖を着用する場合揃えることを検討してみてもいいかもしれません。
洋装の場合はモーニングコートかブラックスーツで、シャツの色は白です。
洋装は時間帯によって着用するものが変わり、夕方以降であれば燕尾服を着用する場合もあります。ネクタイは白もしくはシルバーグレーを絞めましょう。
女性(新婦)は振袖
正式結納の女性の正礼装は振袖です。成人式の際に着用したものでも構いませんが、黒が多い場合はおめでたい席にはふさわしくないので、明るい色を選びましょう。洋装は、露出の少ないアフタヌーンドレスが正礼装ですが、ほとんどの人が振袖を選ぶようです。
両家の父親の服装
父親も新郎と同じく、和装の場合は五つ紋付羽織袴にが基本で、洋装はブラックスーツです。シャツは白、ネクタイは白かシルバーグレーを絞めましょう。
両家の母親の服装
母親が着用するのは既婚女性の第一礼装である黒留袖です。結婚する女性が振袖を着用する場合は、両家の母親も黒留袖にするのが一般的です。格式としては五つ紋の色留袖でも問題ありませんが、いずれにせよ両家で合わせた方が無難でしょう。
兄弟・姉妹・親戚が出席する場合の服装は?
新郎新婦、両家の両親、仲人以外の出席者は、控えめであることが重要です。例えば、新郎がブラックスーツの場合、兄弟はダークスーツを着用しましょう。女性は洋装の場合黒以外の派手すぎないワンピース、和装は訪問着が良いでしょう。
略式結納の服装は準礼装または略礼装
正式結納に対して、最低限のしきたりは重んじながら、省ける部分は簡略化したものが「略式結納」です。最近では結婚において、仲人を立てる新郎新婦は少なくなりました。そのため、行われている結納の多くがこの「略式結納」と言われています。両家で集まり食事会を兼ねて実施されることがほとんどです。
服装の格式も正式結納と比べひとつ下がるので、準礼装または略礼装になりますが、選択の幅が広くなるので事前に両家でドレスコードの打ち合わせをしておきましょう。
男性(新郎)はスーツ
和装の場合は準礼装として三つ紋付き羽織袴か、色無地の五つ紋付羽織袴ですが、略式結納では少数派のようです。一般的にはブラックスーツで、略礼装として紺やグレーのダークスーツが着用されます。正式結納と同じく、シャツは白、ネクタイは白かシルバーグレーが良いでしょう。
女性(新婦)は振袖かワンピース
和装の場合は訪問着でも問題ありません。しかし、結婚すると着られないということもあり、振袖を着用する人も多いです。洋装の場合は、黒以外の派手すぎないフォーマルドレスが挙げられますが、略礼装としてワンピースやスーツなどが選ばれることが多いです。
両家の父親の服装
父親はブラックスーツを着用し、ネクタイやシャツは白を選びましょう。
堅苦しさをなくしたい場合はダークスーツでの構いません。
両家の母親の服装
母親は洋装の場合は黒以外のワンピースかスーツで構いません。和装の場合は訪問着、付下げ、色無地のいずれかを着用しましょう。ただし、両家の母親同士で和装か洋装かは事前に相談して揃えた方が良いでしょう。
兄弟・姉妹・親戚が出席する場合の服装は?
正式結納と同じく、基本的に控えめであることが重要です。例えば新婦がワンピースを着る場合、姉妹は女性よりも色味を抑えたワンピースを選びましょう。結納の主役である結婚する新郎新婦よりも目立ってしまうことがないように注意しましょう。
結納の服装選びと合わせて気をつけたい身だしなみマナー
ここまでは主に基本的な服装の違いについて説明してきましたが、メインとなる服だけでなく、身に付ける小物にも気を配ることが大切です。新郎新婦、それぞれの身だしなみのマナーもチェックして、印象の良い仕上がりにしましょう。
男性は靴下など足元にも注意
和装は足袋が主流ですが、洋装を選んだ場合は特に足元に気を付けなくてはなりません。靴は黒い革靴が基本で、紐の付いたものを選びましょう。
靴下は黒の無地で、足首が見えないようロング丈のものを選ぶと安心です。結納は和室で靴を脱いで行う場合が多いので、言うまでもありませんが穴が開いていないかよく確認しておきましょう。
女性のアクセサリーは控えめに
アクセサリーを付ける場合は、和装でも洋装でも小ぶりなものを選ぶようにしましょう。和装の場合は、パールの小ぶりなピアスをつけるくらいが無難でしょう。伝統的な和装にアクセサリーの着用を快く思わない方も一定数存在し、特に結納という正式な場なので、心配な場合は腕時計なども着用しないようにしましょう。洋装の場合はネックレスを取り入れてもいいですが、こちらもパールが無難です。
振袖にまつわるギモンを解決!
さて、結納の服装の基本については理解したものの、いざ服を用意するとなった際、普段着る機会の少ない和装、とりわけ振袖について疑問が出てくることもあるでしょう。そこで、結納での振袖の着用マナーについて、よくある質問にお答えします!
Q:結納を夏に行う場合、振袖でも大丈夫?
7月下旬に結納を行う予定です。せっかくなので振袖を着たいと思っていましたが、真夏の暑い時期に振袖って変ですか?
A:もちろん、夏でも振袖は着用してOKです。洋服でいう半袖と長袖のように、着物にも袷(あわせ)と単衣(ひとえ)という仕立てがあり、季節によって使い分けられます。単衣仕立ての薄手の振袖もあるので、夏場はそういったものを選ぶようにしましょう。手持ちの冬用の振袖をどうしても着用したいという場合は、会場内で着付けをお願いし、冷房環境の中でのみ着用するのが賢明でしょう。
Q:遠方から参加するので振袖は諦めるべき?
結納を行うことになりましたが、家族の都合で会場が遠方になりました。振袖を着たいと思っていたのですが、諦めた方が良いでしょうか。
A:家から着ていくことも可能ですが、移動も大変だと思いますので、会場近くで着付けしてくれるところを探すようにしましょう。支度に時間もかかるので、会場近くに前泊すると当日の準備もスムーズにいきます。その場合は宅急便で事前に振袖を受け取ってくれる場合が多いので、宿泊先に確認しておきましょう。
Q:振袖を着てもいいのは何歳まで?
結納では振袖を着たいと思っていますが、友人に「30代で振袖ねぇ・・・」と言われ不安になってきました。独身だから問題ないと思っているのですが、振袖に年齢制限はありますか?
A:年齢制限はありません。振袖は独身女性の第一礼装なので、未婚であれば年齢で着用が制限されるものではありません。もし年齢が気になる場合は、あまり派手でなく、シックで大人っぽいデザインを選ぶとよいでしょう。
この記事のまとめ
- 正式結納は「正礼装」、略式結納は「準礼装」または「略礼装」
- 結納で着用する服装は両家で事前に共有しておく
- 振袖は最後の機会になるにで積極的に着用しよう
将来を誓い合った二人だけでなく、両家の家族にとっても大切な儀式である結納。出席する際の服装のマナーを確認して、全員が気持ち過ごせる素敵な場になるようにしましょう。